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ISBN 978-4-89801--
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老年科医のひとりごと 第30回

現代の若者のライフプラン

井口 昭久
愛知淑徳大学健康医療科学部教授

 現代の学生たちは優しくて従順である.われわれの世代のように大人を小馬鹿にしたり,虚無的な世界観をもつ学生はいない.
 19歳と20歳の学生たち16名に未来のライフプランを書かせた.健康医科学科の学生で特別の資格を取得することはなく,一般の会社へ就職する学生たちである.リーマンショックで親が不安な生活を送っている時代に,幼少期を過ごした世代である.
 年代別の記述になっているが4名の男子学生は空白欄が多く,将来に見通しがもてないようだ.
 女子学生のプランは類型的であった.22歳で就職して25~30歳までに結婚をして子供は2~3人欲しい,というのがすべての女子学生のプランである.だから25歳までに彼氏をみつけたいのだそうだ.
 40歳になったら「子供には,ある程度自立してもらいたい」と書いている学生がいたが,「ある程度」というのが現在の自分を投影しているようでおかしかった.
 「子供に手がかからなくなったら週4回のパートに出たい」,「40歳で老後のためにしっかりお金を貯め始める」などと悲しいほどに現実的である.
 50歳代になると,「夫が定年になるので2人で毎日のんびり過ごす」などと書いてあり,老後が現実的である.まだ出会っていない夫と趣味をみつけたり旅行をしたいそうだ.
 ボケが始まらないように体を動かしたり,社会参加をしたいなどと認知症を心配しているのは,私の「老年学」の教育が行き過ぎたためだ.
現代の若者(W300) 50歳から終活を考えると書いた学生もいたが,いま彼女は就活中である.
 老年期に入ると「子供が結婚してるとうれしい」,「孫とかいるとうれしい」などと,老後になって初めてうれしくなるのが哀れを誘う.
 まだ出会ってもいない「大切な人より先に死ぬ」と書く女子学生もいた.
 彼らの老後はあまりにも早くやってくる.50歳からだ.
 70歳になると多くの学生が「死んでいると思う」と書いていた.

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