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老年科医のひとりごと 第68回

MRと妊娠

井口 昭久
愛知淑徳大学健康医療科学部教授

 頼りにしていた女性MRが辞めるという.薬に関する情報ばかりではなく学会に関する情報も教えてくれていた.医者はショックを受けた.

 MR:「妊娠していますので,産休に入ります.先生にお目にかかるのは今日が最後になります」医師:「寂しいね,でもまた復帰するんでしょ」,「産休後,育休に入るので復帰は2年後になります」,「それではここへ再び来るかどうかわからないね」,「そうなんです,寂しいです」,「寂しいね.どこで産むの?」,「山口県です」,「男の子?女の子?」,「女の子です」,「初めて?」,「はい初めてです」,「心配しなくてもいいよ」,「??──」,「最近は医学が進歩しているからね」,「──」,「高年出産でも大丈夫だよ」,「!!─私まだ30歳ですけど,一応」,「そうだったの.ごめん,ごめん.君は落ち着いてみえるから.自信にあふれているから,それに気品があるから年とってみえるんだね」,「??──」,「でもね,若いころに年とってみえる人は年寄りになってから得するよ」,「なぜですか?」,「若くみえるから」,「若いときから年寄りだからですか?」,「年をとっても変わらないんだよ.初めから年とってるから」,「なんだが変な慰め方ですね」,「でも君は若く見えるね!!」,「駄目ですよ,今から言い直しても」MRと妊娠(W280)
 「そういえば,思い出したことがある.クリニックの看護師が妊娠してね」,「──」,「僕はお腹の赤ちゃんに触らせてもらっていたんだよ」,「妊婦のお腹を触ったんですか?」,「だんだん大きくなるのが嬉しくてね.毎週触らせてもらっていたんだよ」,「──」,「ある日,その看護師が言ったんだよ」,「何て言ったんですか?」,「先生もうお腹の中に赤ちゃんはいませんって.産んだ後だったんだね」,「産後もお腹が大きかったんですね」,「僕は彼女の脂肪に触っていたんだよね」.「それじゃセクハラじゃないですか!!」

──すべてフィクションであり,事実ではない.──

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