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ISBN 978-4-89801--
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老年科医のひとりごと 第39回

いかがわしい話

井口 昭久
愛知淑徳大学健康医療科学部教授

 大学の構内に強風が吹き荒れていて寒い2月の火曜日の午後だった.
 共同研究室へ入っていくと女性事務職員の良子さんと中野先生がいた.
 室内には太陽の光が注ぎ込んでいて暖かかった.
 「この部屋暖かいね」と私がコートを脱ぎながら言うと「暖房は入っていないんですよ」と良子さんが言った.「太陽って凄いね.洗濯物を乾燥機に入れると何時間もかかるのに太陽に干すとあっという間に乾くもんね」と私が答えた.
 中野先生が「井口先生,家事なんかするんですか?」と訝しげに聞いてきた.中野先生は小学校の校長を定年になって最近この大学へ着任してきた先生だ.
 以下は私と中野先生の会話である.
 「私は毎日掃除,洗濯,お料理してるんだよ」
 「本当ですか?」,「マジだよ」
 「料理もするんですか?」,「インターネットでレシピを調べてスーパーへ行って.まだキャベツは半分冷蔵庫に残っていたな,なんて考えながらロールキャベツの食材を買っているんだよ」
 「洗濯も毎日ですか?」,「だから雨が降ると,心配になるんだよね」
いかがわしい話(W180) 「掃除はどうやってやるんですか?」,「ルンバについて回ってやるんだ」
 「本当ですか?」と中野先生はいつまでも疑い深い.
 「ハハハ」とコーヒーを淹れながら良子さんが笑った.そして良子さんが「ロールキャベツってどうやって作るんですか?」と意地悪な質問をした.
 私は「ジャガイモをよくつぶして,片栗粉で混ぜたやつをキャベツで包むんだよ」
と言うと,良子さんが「嘘ばっかり」という顔をした.
 さすがに中野先生も気が付いたとみえて,
 「やっぱりね!先生の話,嘘かホントかわからんわ!」と言ったので,「基本的に,いかがわしい話が好きでね」と私が言うと,「先生がいかがわしいんだわ」と中野先生が言った.

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